重度歯周病の治療
歯周ポケットが6mm以上で、歯を支えている歯槽骨がほとんど溶けてなくなり、歯がぐらぐらしているような場合や、歯周基本治療を行ったのちに再評価をして歯周ポケットが4mm以上ある場合など、必要だと診断した場合は歯周外科手術を行います。歯周外科手術には、切除療法、再生療法があります。

切除療法
深い歯周ポケットを改善しプロービング深さを3mm以下にすることでメインテナンスしやすい環境にするための手術です。切除療法は歯槽骨を切除して骨縁下欠損を改善します。
※切除療法は保険診療適用内です
症例
※症状には個人差がありますので、同じような治療結果を必ずしもお約束するものではありません。
※治療費用は全て税抜の価格となります。
46歳 女性
骨の再生治療

歯周病で溶けてしまった骨を再生する治療です。欠損部の歯槽骨を再生させて骨縁下欠損を改善します。
※再生療法は自費診療となります

再生療法-エムドゲイン
歯周病が進行し歯槽骨の吸収が重度に至った場合(歯周ポケットの深さが6mm以上)、従来の切除療法では歯茎は下がり歯根は露出してしまいます。そのため術後に知覚過敏や発音障害等がおこります。このような術後障害を回避するためには、失った歯槽骨を元に戻す再生療法がたいへん有効です。再生療法にも様々な術式がありますが、現在ではエムドゲインゲル(歯周組織再生誘導材料)が最も効果的な治療法といえます。

エムドゲインゲルとは
主成分はエナメルマトリックスデリバティブというタンパク質です。どうしてタンパク質を塗ると歯周組織が再生するのでしょうか? それは"乳歯や永久歯はどうして生えてくるのか?"という話にさかのぼります。 歯は顎の中で創られ歯茎をやぶって出てきます。 近年、このタンパク質が歯の発生の引き金になるということが解明され、歯の周囲のセメント質、歯根膜そして歯槽骨の再生に応用されるようになりました。 バイオロジーの進歩によるとても画期的な治療法で、今までにない治療結果が得られています。
エムドゲインゲルは現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若ブタの歯胚から抽出精製したものです。2014年現在、世界40カ国以上で約200万症例以上使用され、今日に至るまで1例の副作用の報告もありません。とても治療効果の高く安全な材料だと思います。 僕も自分の両親にも使いましたし、自分がもし歯周病になったら使ってほしい材料です。
症例
※症状には個人差がありますので、同じような治療結果を必ずしもお約束するものではありません。
※治療費用は全て税抜の価格となります。
77歳 女性
「歯周病とかみ合わせを治してほしい」と北九州市のH歯科クリニックの紹介にて来院。
デンタルX線写真にて右側中切歯に根尖におよぶ骨吸収が認められる。
頬側近心に10mmの歯周ポケットが認められる。
歯肉を剝離すると歯根に沢山の歯石が付着しています。
歯根表面に歯石を完全に除去し、根面を滑沢化します。骨表目の軟組織も完全に除去します。
歯根表面にエムドゲインゲルを塗布します。
デンタルX線写真にて骨の再生が認められます。
頬側近心の歯周ポケットは2mmに減少しました。
かみ合わせも安定し、歯周病は全て治癒しました。右側中切歯は歯も削ることなく治りました。
37歳 女性
9mmの歯周ポケットが認められます。今までに何度も腫れてその度に抗生物質を服用していました。骨が歯根の先のところまで溶けているのがわかります。
歯肉を剝離し、歯石を取り除き根面を滑沢化します。歯根表面にエムドゲインゲルを塗布します。
術後6ヶ月経った状態。歯肉の炎症も消失し、歯の動揺も改善されました。
骨が溶けている術前の状態。歯根の凸面は歯石の付着が疑われます。
手術直後のレントゲン写真です。歯根はスムーズになりました。
骨が完全に再生しているのが確認できます。術後8年になりますが、現在も良好に維持しています。
その他の歯周外科手術
歯周外科形成手術(保険診療適用内)
歯周ポケットは3mm以下で炎症所見はなく直接的に歯周組織に為害作用はないものの、歯の予知性に間接的および中長期的に悪影響を及ぼす部位に対して、その歯肉の形態異常を改善する場合に行う手術です。
症例
※症状には個人差がありますので、同じような治療結果を必ずしもお約束するものではありません。
※治療費用は全て税抜の価格となります。
28歳 男性
不適切な人工的修復物が被せられ、二次カリエス(むし歯)が認められます。
歯周外科手術を行います。歯肉を下げて健全な歯質を出します。その後、縫合します。
手術後3年経った歯です。健康な状態を保っています。
※外科的治療が不可能な重篤な全身疾患がある場合、口腔粘膜疾患が認められる場合は禁忌となります。
【治療内容】歯肉剥離搔爬術 【治療期間】1回 【費用】保険診療 【主なリスク】全身疾患や血液疾患がある方は出血傾向が 発現することもあります。正常であれば起きません。【副作用】外科的処置では術後に疼痛および腫脹が発現することがあります。切除療法では歯肉を切除しますので、審美障害、発音障害あるいは知覚過敏が発現することがあります。